Poco a poquito
「これが今日撮った写真、そしてこっちが手術の直前のヤツね。比べてみて下さい、今日の方がここ、踵の骨がちょっと薄くなっちゃってるでしょう? やっぱり、どうしても右を使ってないからそうなっちゃうんだよね。もう、体重かけてどんどん使っちゃって下さいね」 13日の診察のとき、藤沢市民病院整形外科の僕の主治医・Mさんは、その直前に撮ったX線写真を見ながらそう言った。なるほど、彼が指し示した踵骨(漢和辞典で調べると「かかと」の音読みは「ショウ」なので「ショウコツ」て読むんやろな、たぶん……)の密度は、9月に比べて薄くなっているように見えた。 続いて行ったリハビリテイション室で、理学療法士のHさん。 「ちょっと靴下脱いで見せてもらえますか?……ああ、まだあまりむくみが取れないなあ……リンパ液が流れていかなくて、それで固まっちゃって足首が曲がんないみたいなこともあるんですよ。だから、こうやって、足とか、アキレス腱の周りとか、硬いとこ押さえて、心臓の方向に流れるのを促すのね。テレビ観ながらでもやってもらえればいい」 その結果、初めて「渦流浴」(風呂桶の小さいのみたいなヤツに足つけてると、そこからシューーッて気泡が出てくるの。よう銭湯であるやないですか、背中とかに泡当てて、あれ)をやった。手術の痕に細かい気泡をぶつけるのだ。「朝足浴をすると、足の動き方が全然違う」と11/5付にも書いたが、渦流浴もとてもいい刺激になった。 気の長いリハビリであることも、そして全部が順調な快復ではないことも、わかりきっていた。少ーしずつ前へ進んでいるようで、何か心の隅に残っていた不安と不満の原因がこの「むくみ」だとしたら……。 でも、脳腫瘍取ったあともこんな焦りと苛立ち、あったよなあ。ちょうど去年の夏の初め(術後4か月ほどの頃)抗がん剤の点滴治療で、肝臓に強い副作用が出て苦しんでた頃が、少し似てるよね。 「一進一退」でもないわけさ。「退いて」はいない。よくなっていかないわけはないのだから、クサらずじっくりやっていくしかないわね……と思い直して、今日も僕は、自宅のストレッチング・ボードに載るのだった。「お、20度以上でもいつの間にかえらい楽になっとるやないかい」
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