ロシアのモントゥーノ
小田急/東京地下鉄の代々木上原駅の東出口を出て駅前商店街を抜け、急坂を上るとその「アクースティック・コンサート・ホール『ムジカーザ』」はある。……なーんて書くとちょっとロマンティックに歩いて行った感じがするが、実際には、仕事を17時ちょっと前で早退けして小田急の快速急行に飛び乗り、開演時刻の3分前に代々木上原の駅に着いて、大慌てで坂を駆け上がり、ゆかりさんと「おめでとうございます」をお互いに言い合うのもそこそこに、係の人に急かされながら会場に入った、そんな土曜の雨の夕方だった。 僕にとって、井上ゆかりさんの初めてのソロ・コンサート。ある時はヴォーカリスト、ある時はトランペッター、またある時はドラマーとベイシストと、誰かが必ず隣にいるライヴしか観たことがないので、まず感じたことは、「勝手が違う!」。でも、ひとりで全く自由に空間を仕切り続ける彼女の姿に、いつもと変わらぬ頼もしさを覚えた。 今回は秋物を中心にして、日本のメロディーを多くフィーチャーしたゆかりさん。ジャズ風のリズムなのだが「あれ? これ、よう聴いたら知ってるあの曲やん」と唸らせる展開がいくつもあった。 そして、僕にとって圧巻だったのは、ロシアのジプシー歌謡を代表する名曲(Wikipediaによる)であるはずの「黒い瞳」を、途中からモントゥーノ風の、シンコペーションばりばりのアレンジで弾き始めたことだ。座席に座りながらも、僕の上半身はクイック・クイック・スローのステップを踏んでいた。 演奏終了後は、座席を片付けてテーブルをしつらえての誕生パーティー。こんなケーキも出た。「2人の初めての共同作業でございます!」なんて、誰も言わなかったが……。 そしてこれは、代々木上原の駅前の花屋さんで愛する友子が買ってくれた一輪挿しと。敢えて「ナントカ禁止」の札の前で撮った。 ところで、10/22付「フンッ!」で、「誕生日を機にした決意」の1つとして「無駄な時間を使わない」と書いたら、このブログへのコメントやメールで、何人かの友だちから「それって素晴らしい!」という感じのお褒めの言葉をもらって、面映ゆい気持ちになってしまった。 ちょうど1年ほど前、僕はここにこんなことを書いた。「四十而不惑--四十にして惑わず。あの有名な『論語』の一節は、『40歳になったら私は、何物にも惑わされなくなった』という意味だとされているが、実はそうではなくて、『40になってもどーしてもボクはまどわされちゃう★だからまどわされないんだぞって言っちゃわなくちゃっっ』と言いたいんだという説がある」 今回の「無駄な時間を使わない」も、実はこれと同じで、無駄な時間を使い倒しているから、「時間をもっと大切にせなあかん!」と決心する必要がある。普段からちゃんとした時間の使い方をしている者は、そんな決意をしなくてもいいのだ。同意してもらえるのは嬉しい限りだが、どうか実態はわかってもらえればと思っている。
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