『ブラジルで会おうぜ』?!――かかか、固い友情の誘い
☆御堂筋を封鎖せよ W杯出場が危ぶまれつつある日本代表は、昼間に行われたソウルのワールドカップ・スタジアムでのアジア最終予選の韓国戦で、前半1点のビハインドを背負ったものの、後半本田圭佑と柿谷曜一朗の2ゴールで鮮やかな逆転勝ちを収め、もう日本中がひっくり返った。試合の終了後、大阪府警は御堂筋の難波高島屋前から道頓堀橋までの間を完全封鎖し群衆に開放。一方東京警視庁も、東京ミッドタウン入口から六本木交差点を経て、ロアビルまでの外苑東通りの全面開放に踏み切った……なんてことが起こることは、ここ日本では、この先数十年あり得ない、少なくとも予選では。でもいわゆる「サッカー先進国」では、僕が見るくらいだから結構当たり前のことなんだろう。 2001年の9月、日韓W杯の9か月前、メキシコ市。僕はその日の朝の新聞で、メキシコの代表チームが、キングストンでジャマイカと昼間にアウェイ戦をすることを知った。El Tri(エル・トゥリ、代表の愛称)は結構崖っぷちに立たされていたが、怪我でしばらく欠場していたスターFW、クアウテーモク・ブランコがこの試合から復帰するので、記事の書きっぷりはやたらと盛り上がっていた。僕がメキシコに留学していた頃の友だちの家に昼ごはんを招ばれに行くと、試合をみんなで楽しもうと、彼らの親類縁者が何人か集まっている。 前半になんとオウンゴールで失点したときには、家中がどよ~~~~んとした雰囲気に陥った。しかし、後半からピッチに出たブランコがたちまち2点を決めて逆転すると、もう蜂の巣をつついたような大騒ぎだ。結果はそのまま2-1でメキシコが勝利、翌年の日韓大会に大きな望みをつないだ試合になった。 昼食のお礼を言って、日本へのお土産を買うべく街へ出た妻と僕が目にしたのは、日本では決して見たことのない光景だった(2002年大会前ですもん、まだ慣れてなかったんですわ)。その沿道には日本大使館もある首都最大の目抜き通り、Paseo de la Reforma (レフォルマ大通り)に自動車が1台も通っておらず、上下合計で10車線ほどの通りが、歩行者専用道路と化しているではないか。周囲に警察官が立っているが、群衆に何も手出しはしない。すぐに僕たちは事情を理解した。混乱を避けるため、あえて一定の時刻まで道路を全面封鎖して、好きなだけ騒げるようにしたのだ。なるほど。 やがて封鎖を解く時間になったらしく、警察の大きな車がスピーカーで "Nos vaaaamoooos!" (もう帰るよ-!)と、妙にのんびりとした口調で言いながらやって来るが、まだ一部の人々は、すぐ取れる泡のスプレーを警察車両にかけて遊んで笑っている。 道路の封鎖は解けても、歩道上はもちろんやりたい放題である。やたら嬉しそうにしていた一団にすれ違いざま "¡Bienvenidos a Japón!" (日本にようこそ)と声をかけたら "¡Nos vemos en Japón! ¡Nos vemos en Japón!" (日本でまた会おう)という合唱が返って来た。☆2年半ぶりの快挙 さて、昨日のアウェイのニュー・ジーランド戦だ。意外と緒戦攻めあぐんだホームでの第1戦と違い、14分に相手DFがクリアしそこなったボールをオリーベ・ペラルタが決め先制。続いて28分にはスルーパスが通った後に真ん中を抜けたペラルタが鮮やかに2点目を挙げる。ペラルタはこの5分後にももう1点入れ、なんと開始33分でハットトリックを達成した(代表でのハットトリックは2年半ぶりらしい)。38分に自らのファウルで与えてしまったPKもGKモイセース・ムーニョスが横っ飛びでセーブ、流れは完全にメキシコに向いていた。 後半はメキシコが決め手を欠いているうちに、一旦はPKを含み1点差まで追いつかれたが、86分にカルロス・ペーニャがダメ押しの1発を叩き込み、結局4-2、2戦合計9-3で、メキシコが北中米カリブ地区4つめのブラジル切符を手にした。 ミゲル・ラユン(7)と喜び合うペラルタ(19)。これはたぶん、2点目を決めた直後の写真やと思う。FIFAワールドカップ・ブラジル2014最終予選 大陸間プレーオフ第2戦メキシコ 4-2 ニュー・ジーランド(2戦合計9-3で、メキシコが本選出場決定)(2013.11.20 18:00 ウェストパック・スタジアム/ウェリントン,ニュー・ジーランド)主審:フェリックス・ブライク(ドイツ)得点者: メキシコ:オリーベ・ペラルタ 13', 28', 33'; カルロス・ペーニャ 86'ニュー・ジーランド:クリス・ジェイムス 79', ローリー・ファーロン 83'☆想像するだけで…… 街の盛り上がりぶりの報道はネットでは今のところ見つけきれないが、昨日11月20日は独立記念日、祝日のはずだ。前回の書き込みで「1日経済活動が止まるだろう」なんて書いたけど、それ以前の日だったのである。昨日は、朝から国中がさぞかしえらいことになっていたことは容易に想像がつく。そしてその熱さは、今から12年前のあの日の比ではなかったことも。 そや、思い出した、前回のラファ・マルケスの写真をフェイスブックに載せたら、メキシコの友だちから「ブラジルで会おうぜ、日本も出るんだから」というメッセージが来たんや。そら、あんたらはまあまあ近いやろけど、うちらにとってブラジーウまで行くのは一仕事でっせ……(>_<) もう1枚載せときます。FEMEXFUT(メキシコサッカー協会)のサイトを開くと出てくる画像、左からGKムーニョス、DFマルケス、FWラウール・ヒメーネス。「情熱が私たちを1つにする ワールドカップ出場おめでとう!」と書いてあります。第2戦の戦評はこちらへ。
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