1分半のタンゴ
15日、僕の職場を去る後輩のAちゃんの送別会でタンゴを踊った。曲は "Libertango" 。 「送別会」とは言っても、ネクタイを鉢巻きにしているおっさんが飲んだくれているような会ではないですよー。我が「カフェ・ドゥ・そーじゃん」の利用者たちが、近くの公民館のホールを借りて手作りで企画したものだ。 僕とペアを組んだのは、そのAちゃん本人と、利用者のKちゃん。2人ともタンゴの経験者だ。練習時間の少ない中、3回で仕上げてしまわなければならないため、2分40秒の元歌を切って1分半ほどにする。そして、振りはド頭と間とラストのキメやアダジオ(リフト)はしっかり決めて、あとはほとんどサリーダ(基本ステップ)やオーチョ(「8」の意。前進または後退しながら8の字のような線を書く)の連続にした。 バレエ経験者のAちゃんはスジがいい。ヒーロ(男性の周りを回転していくステップ)なんかは、教えなくてもリードだけで踊れたりする。Kちゃんも、以前数人の利用者をいっぺんに「松竹大船ダンス・プラザ」の漆原美影さん・有彩さんのレッスンに連れて行った中でただ1人、その後回を重ねて通った人なだけあって、一日の長がある。 3回の練習の1回目と3回目は公民館の会議室、2回目は久々に横浜・菊名の鏡つきのスタジオを借りてやった(僕の妻のタンゴ&リフト指導もついた)。 一昨年の同じ施設の「忘年会」で、当時1回目と2回目の入院の間でへたっていた僕を元気づけようと、多少なりともタンゴの経験のある人たちが集まって、1曲作って見せてくれた。それはそれで素晴らしかったことは言うまでもないが、今回の練習をしながらKちゃん曰く「やっぱりセンベイさんがやるとレヴェル高いね」。そりゃそうだ。「これ、ちょっとできっかな?」と思うことに挑戦する、挑戦させるところに、意味がある。 僕たちのパフォーマンスは、他の人たちの歌などの芸の一番後に「サプライズ」として組み込まれていた。詳細を知るのはディレクターと音響係ぐらい。しかも、僕とKちゃんが板付きで踊り始めて40秒、客席で観ているだけのふりをしていたAちゃんが、やおらコートを脱いで舞台に上がってくるなんていう演出までつけたから、そこで既に大拍手をもらってしまった。 最後、3人でのソロ・ダンス(サルサで言うシャインズですね)に続きキメ。だいたい、普通でもショウになると短く感じるのに、1分半だから尚更だった。 「センベイさんがひとりで踊り出すのかと思ってたら(なわけねーだろ)Kさんも出てくるし、まして客席からAさんまで上がってくるんだもん、びっくりしましたよ」とは司会者の弁。湿っぽいのが嫌いな僕が、爽やかに芸能コーナーを締めたのだった。もっとも、これがなくても湿っぽくなりそうにない会だったけど。
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