チャチャチータス発表会(Prólogo)
あー、怒濤の2日間が終わった。4月は16日から、ほとんど日曜と祝日のたんびに調布まで行ってたから、正確には「怒濤の20日間」なんかな。まあそんなことどうでもええわ、て言いたいくらい疲労感残りました。それと同時にもちろん、「あることを成し遂げたスッキリ感」もあります。ただ、それはいわゆる「快い疲れ」というヤツとは違う、2つ別々のビミョーなモンやったりします。 5月4日13時、調布市グリーンホールの楽屋入り。「タブー」で共演するTと、小学校2年生のYくんと同室だ(60人から出演者がいる中で、男はこれとあと1人だけ)。身体を伸ばして、「タブー」の衣装に着替えてホールへ向かう。挨拶と簡単な説明のあと、フィナーレとカーテン・コールの確認。それから1・2部通してのゲネプロである。踊りはもちろん、位置取り、顔の作り方に至るまで、マイクを持った雅美さんから容赦なく指摘が飛ぶ。もちろん僕に対してもだ。 思えば、前々回の発表会に数小節だけ出させてもらったときは、事前に練習に参加して出たわけでなく、当日だけの出演だったので、正味の「ゲスト」。だから直前のゲネでの彼女の叱咤激励、もとい、叱咤叱咤叱咤激励も「うわー、すごーい。いつもあんな感じなんかなー」と100%客観視していた。それが4年経って、まさか自分に向くことになろうとは。 1曲踊り終わったあとの舞台裏はごった返していた。「あー、次あんた何だっけ?」「俺、足につけるヤツないよー」「濡れ雑巾誰の係だっけー? 雑巾!」2部のフィナーレまで演ること何もない僕だけど、客席でリハをのんびりと観る意欲など、失せた。何と、舞台裏がこんなだったとは。4年前の発表会のときは、知らなんだ。 第1部の通しが終わり、しばし休憩に入る。僕はこの日、妻のバレエの発表会(於・神奈川/ハーモニーホール座間)が控えていたこともあって、リハーサルをここで中座した。 「タブー」のリハが終わったあと僕が楽屋に持ち帰った小道具の薔薇が、なぜか僕のではないのに僕は気付いていたが、僕はとりあえずそれをTにだけ伝えて帰った。 よく考えてみれば、僕がそれを持っているということは、自分の薔薇を持っていなくて悩んでいる子がいるということであり、そしてそういうことは、雅美さんにもちゃんと言って行くべきだった、でも、ま、いっか……なーんてことをその夜僕は風呂に入りながら考えたのだが、それが本当は全く甘い考えであり、実はその日ゲネの終わりしな、1本の薔薇をめぐってグリーンホールは上を下への大騒ぎになっていたことなど、僕は知る由もなく眠りについていたのである……。(つづく)
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