夏休み脳腫瘍日記②--「病気と付き合う」自己体験
「あなたの病気を、治そうと思わん方がええかも知らん。病気と付き合うてしもた方が、楽かも知らんよ」と、僕は僕の勤め先の利用者たちに対してしばしば口にするけど、まさかそのセリフがこんな形で自分自身に向けられるとは夢にも思わなかった。 僕は駅員をしているわけではないので、ホームの縁に立つ必要もない。大工ではないので、高い場所で仕事もしない。 泳ぐなと言われれば一生泳がなくてもどうってことない。実際はこれからも、プールや、海でも浅いところなら行っちゃうんだろうな。でも、海の、足の届かない場所に1人で行くというあの小さなドキドキ感はもう味わえないのかと思うと、少し淋しい。 しかし、全体的に言うと、自分でも意外なほど、これらのことを冷静に受けとめているのもまた事実である。そして、改めて思う、ああ、僕が決まり文句のように言い続けてきた「病気と付き合う」て、なんや、こういうことかー、と。 僕が、手術や、手術前の検査の前後に病棟で感じたこと。「どこそこに、痛みありますか?」なんて看護師さんが訊いてくる。そのこと自体はもちろんありがたいのだが、その看護師が「僕と同じ実際の痛み」を(たぶん)知らないことに気付くと、ちょっと辛かった。その分想像力で感じていただくしかなく、また「担当科関連の全ての痛み」をいちいち知っていたら仕事なんかできないとは言え、どれか1つを何かの縁で知っていればプラスになるのかも知れない(実はマイナスになる場合もあるけど)。 かたや僕は、常に「あーせえ、こーせえ」と言っている内容を実感として「体験してしまった」のだ。それならばこれを自分の「強み」としてみんなに伝えたい。「自分の病気を受け入れるかどうかで悩む精神障害者地域作業所職員、ここに誕生」だ。(明日の③につづく)
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