直球質問
僕の勤務先の事業所には、市役所の若手職員とか大学生や、障害種別は違うが同業者といった多くの実習生や研修生が訪れる。昨年からは、県内H市にある、S専門学校に学ぶ看護師のタマゴたちの実習を引き受けることになった。 様々な科の病棟で実習する彼女たち/彼らは、精神科の病棟実習の途中で、必ず1日ずつ×2か所、ウチのような地域の福祉施設に来るのだ。僕たちにとってみれば1人につき1日だけ。1日でも鮮烈な印象を与えて去る人もいれば、え?そんな人来たかいな?というような人も残念ながらいる。 先日お越しいただいたYさんは、どちらかと言えば「鮮烈」の方に属するひとだった。 たとえ1日の実習であっても、朝、僕はいつもより30分早く出勤して実習生に施設の説明をするし、利用者が帰ったあとはまとめと質問の時間を作る。「どんな質問でもいいから、必ず1つは訊いて下さいね」と朝の段階で僕は常に念を押しておくが、このYさんが実習した日は、いくつかお尋ねいただいたあと、僕が一瞬タジタジしてしまう問いが飛んできた。 「岩倉さんは、どうしてこのお仕事をなさろうと思われたんですか?」 来たかー、まさかの直球質問! 人生の針路を決めようという今の時期だからこそ、出会う人出会う人に同じようなことを問うているのか、はたまたこの娘自身が「自分はなぜ看護師になろうとしているんだろう」と自問自答し続けているが故に出る疑問なのか。 望むところです。「えー、Yさん、今日はお時間十分おありですか? これから3時間ぐらいかけんとお話しできませんねんけど、いいですか?」と僕はやはりおちゃらけから入りつつ答え始める。(3時間お付き合いいただける方は次回へ)
0コメント