キューバで市川由衣さんに出逢った
「トロピカーナ」と言えば1939年からある、豪華絢爛なレヴューで有名なハバナ郊外の老舗キャバレーで、幾多の映画の舞台にもなっている。似たものがこの国第2の都市にもあると知り、僕たちの今回の "must-go place" の1つに加わった。とは言え、首都のそれと違い、どうも毎日営業しているわけではないらしい。僕らは数日待って、元日の夜にそこへ行くことにした。 「ツアー」とは言え、前々日の市内観光と同じ……申し込みは僕たちだけだったようで、またタクシーに運転手1人、ガイド1人という貸切状態だった。立地条件もハバナと同様街の郊外、そしてun Paraíso bajo las Estrellas (星の下の天国)だ。楽団が舞台のすぐ後ろにいることと、劇場全体の柄が少し小さい感じがする以外は、何となくトロピカーナ・ハバナと雰囲気が似ている(ハバナでは上手[かみて}の少し高い場所で演奏している)。 物売りの掛け声が歌うような調子になっているものは特に pregones (プレゴーネス)と呼ばれ、ここサンティアゴでは町の独特の文化にまでなっている。また、高く細い音を出す小さなラッパ(corneta china /コルネータ・チーナ。いわゆるチャルメラ)の先導で練り歩く comparsa (コンパルサ)も、この町の代表的な音楽だ。ここのショウのプログラムでは、それらがしっかりと押さえてある。 演目の後半で目立ったのが、この写真の中央に写っている女性のダンサーだ。身体はそんなに大きくないのに、キメるところはきっちりキメているから、どこにいても目を引くのだ。まさに、日本で言えば市川由衣さんのようなひとだった。最後の客席練り歩きも、この娘が先導した。 首都にある、同じ名前の場所に決して引けを取らない素晴らしさなのに、お客さんが少ないのは残念で仕方がなかった。
0コメント